2012年4月7日土曜日

2012,04,07,03:10

18歳の誕生日に身内からシルバーを贈られた女の子は幸せになる。

とかなんとか、だったとおもうが、よく覚えていない。
私がもらったそれはかわいいお花のネックレスで、中央にウォーターオパールがきらきらと光っていた。
青い箱と繊細な磨りガラスで出来た丸いケースの中から、なにも変わらない姿で6年ぶりに再会した。可愛らしすぎて好みに合わなかったのと照れくさかったのとで、一度もつけたことはなかった。

この間掃除をしていたら出てきたので、引き出しの肥やし?もなあ、と、ブランド古着の買い取りに他の衣料品と一緒に査定に出してみると、以前別のひとからもらった誕生日プレゼント(新品)を、フリマで(!)思い出とともに売りさばいてやったときと同じ値段だった。私の誕生日の価値を私情ナシで日本円にするとこんな安値になるんだなあと、腹をかかえて笑いつつも、ネックレスだけは手元に戻してもらうことにした。




今日は久しぶりに大学にいった。観光地特有の、桜の下に無限に広がるブルーシートに、どうしてそんな色をしてるんだよ、と今年も溜め息をついた。そろそろ自分の人生を歩まなくてはならないらしい、という書類だのを4つ折りにして今日の小さな鞄に入れ、その足で健康診断に行った。不毛な質問ばかりが並ぶ問診票のチェック項目に一瞥をやり、「考えがまとまらない」にチェックを入れてしまった。手が滑った。

内科の先生は優しそうな若い女性だった。中学校のときの保健の先生を思い出した。その先生のことはとても好きだったのに名前が思い出せない。自分の忘れっぽい所が時々とても嫌になる。
ひととおり相談をして、実は半年以上前からずっとある胸の痛みは「肋間神経痛」というものではないかということだった。病院にいくほどでもなければ、つもりもないので、症状に変化があるわけじゃないのに名前があると急に安心したりして。名前があるということが重要なのかよ、と自分がばかばかしくなった。

うっかり調べてみると、ウォーターオパールには「本当の自分を生きたい」という意味があるらしい、ギクッとせざるを得ない。

そんなこと、何にも考えてなかったんでしょ?たまたまだとはおもうけど、でももし、考えてたとしたらもう完全にお手上げです。6年前の6月8日にどんな話をしたかなんて全然思い出せない。案外忘れっぽいんだから。
23歳のいまも、多分その当時も、私の願望は漠然としたものだ。どこに就職したいとか、何がやりたいとか、そういうことを聞かれても、私は私になりたい、としか答えられない。かっこつけてる様に聞こえるが、こういう言い方でしか語弊なく表現出来ない。内心では、まだまだ甘えているともわかっているけれど。
だけど全然知らなかった。私の願望はオパールが代弁してくれていた。引き出しの中で。18歳の私に祈られた「女の子の幸せ」とは?



問診が一段落して、やはり聞かれた。「「考えがまとまらない」?なんて、話していてそんな風にはおもえないけど。」と先生。
しまった!笑 とおもいつつ、「将来についての考えがまとまらなくて。笑」とぎこちなく言った。
先生は「それは私も同じです。」とわらって、
なんだか普通の女の人だなとおもって、そこにも保健の先生の面影を見たのだった。

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