2010年10月11日月曜日

ひとつ年上の猫


今、犬の散歩をしてきた。

道の途中で近所のおばさんに会った。

このおばさんが市原悦子に似ているもんだから、
小さい頃は本物だと思い込んで、友達や友達のお父さんにまで
「うちの近所に、「秀吉」のお母さん役の女優が住んでいる!」と
自慢しまくった。嘘だと言って信じない友達に
自信も無いのに絶対そうだ、と意地を張った。
意地を張る度に自分がみるみ嘘つきになっていくような気持ち悪さが忘れられない、「市原悦子大宮在住疑惑事件」である。


ひとしきり、当たり障りの無い世間話をし
それじゃあ、どうも。と別れようとしたとき おばさんは私を呼び止めて、

「ねえあなた、ちーちゃい頃よくうちに猫を見にきたでしょう?幼稚園くらいだったわね、あの猫ちゃんたちねえ、かわいがってたけど、去年の今頃、天国へ行ったのよ。死んじゃったの。22年と半分生きたけどねえ。あなたもこんなにお姉さんになって。やあね、あなたを見ると猫ちゃんたち思い出しちゃうのよ。」

私は幼少期嘘つきになった事を思い出し、
おばさんは大事にしていた猫たちを思い出し、
うちの犬は興味がなさそうに舌を出していた。

ちなみに、その友達には大人になってから、あのおばさんは市原悦子じゃなかったと正直に謝ったことで事件は解決した。

おばさんは今日の夕飯を悩んでいたが、あの様子だと多分、
息子が食べたいと言っている青椒肉絲は却下だろうな。

うちの夕飯はなんだろう。

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