
祖母は、とにかく元気で健康なのが自慢で仕方が無かった。
ふく、という名前のとおりに、周りの人に幸せを分け与えるように朗らかで、気丈で、おしゃべりで
どこへ行っても、お元気ですねって言われるのが誇りだったのだ。
しかし、乳がんになり、病院通いをしているうちに
次第に気持ちも滅入っていたのだろう。
去年のクリスマスイブ、心臓がおかしいということで入院。
年齢も年齢だし、今はもう疲れきった彼女の心臓はいつとまるのかわからない状態で
もはや1ヶ月前とは別人のように弱ってしまった。
食事もままならないのはもちろん
寝るときは赤ん坊のようにおむつをし、
一人で立てずに這いつくばってトイレを目指し
間に合わなくて糞尿を漏らし、
それを娘や孫に始末してもらう。
うまく喋れない口を一生懸命開けて
あーとかうーとかわめいているけれど、
あんなに悲しい声を、この世で私は聞いた事が無い。
もうおばあちゃんは、死んでしまいたいのだと思う。
悲しい呻き声をあげる度に
おばあちゃんが生きていく為のプライドのようなものが
ポキポキと音を立てて折れていく。
私の耳にはしっかりと聞こえるのだ。
だけども、もうおばあちゃんはおばあちゃんではなくなってしまっても
それでも彼女は生きていて
神様も世の中も、彼女にまだ生きろという
一体何がよい事で何がわるいのか
だんだんとわからなくなってきている
今日も私はおばあちゃんのとなりの部屋で
彼女の苦しそうなうめき声を聞きながら眠る
そして明日も彼女は今日と同じ1日をおくる。
こんなときでも私にできる事は、上を向いて歩く事だけなんだろう。

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